「ちょっと寄ってきー」
人を呼び止める時は声をかけますが、相手が車に乗っている場合はなかなか難しいです。
タクシーを呼ぶ時は手を挙げたり、手をつかった動作を行いますが、上級者は目配せ一つで止めるそうです。
ヒッチハイクの場合は行き先を示すものを持って掲げたり、映画「或る夜の出来事」のヒッチハイクの車の止め方のシーンを思い出します。
では四万十はどうなのかというと、
幸せの黄色いハンカチならぬ黄色いマフラーです。
これがある時は、「寄ってきやー」という時。
寄ると、自家製のお野菜やお料理をお裾分けして下さります。
ことの始まりは、干物屋さんが販売に来ていた時分。
野良仕事でなかなか家にいないので、買いたくても買えなかった時も多々あったそうです。
じゃあどうするかーーということで、黄色いマフラーがある時は買いたいから寄ってってという目印にして、意思疎通を行なっていました。
お互いに居心地がいいコミュニケーション。
今はその干物屋のおばあちゃんも亡くなり、使わなくなったそうです。
これは四万十に住む或るお方の一例です。
電話をかけて相手が出なかった、メールの返信が来ないと腹を立てたりめげていたりと独りよがりのコミュニケーションがある中、文明に頼らず自身や相手のことを考慮し、工夫してコミュニケーションをとっている田舎の人の在り方に学ぶところも多そうです。